オモコロの公式コミュニティ「ほかほかおにぎりクラブ」に入会している。ここでは入会後20日が経過すると、編集長の原宿さんから「にぎ名」という名前が直々にもらえる。
原宿さんといえば、「咎人の雛(とがびとのひな)」「真葉大寺 起床(しんばだいじ・きしょう)」のように、記事・動画で自身が演じるキャラに独特すぎる命名をしているが、当然にぎ名も例外ではない。
僕は「六万枝玖是 報罰(ろくまんえぐぜ・ほうばつ)」というにぎ名をもらった。今のところ使う場所も特にない(Xや会員限定Discordのプロフィールに書いている会員の人もいる)が、けっこういいものをいただいたと思っている。なんなら、全くプレイしたことがないロックマンエグゼにもなぜか親近感が少し湧いた。
先日ほかおに会員限定の展示会「にぎ名展 ―変換されるアファメーションと、その相克」が開かれた。
会員たちに与えられたにぎ名の変遷を辿るイベントで、僕は遠方で行けなかったので後日公開されたレポート(会員限定記事)を読んだ。歴代にぎ名一覧パネルの中にしっかりと「六万枝玖是 報罰」もいる。
その会場の中で流れていたビデオ「にぎ名が出来るまで」(こちらは一般公開されています)のワンシーン。
「粘蝋燭里 辺今(ねばりろうそくざと・べっこん)」というにぎ名を考えた原宿さんは「もうちょっと行ってもいいのかな」とさらに発想を飛ばす。
「粘蝋燭里 辺今ベスト10」「粘蝋燭里 辺今ホールド」を経て、最終的にこうなった。
粘蝋燭里 辺今[bold][/bold]っていう。ここにちょっとタグを置いて、ここの間が太字になりますということで。
太字タグ!????
いや、戸籍上の名前ではないんだからルールはない。だが、「タグ、アリなんだ……」という気持ちでしばらく度肝を抜かれていた。
オモコロと並ぶ老舗読み物サイト・デイリーポータルZのウェブマスター林さんは著書でDPZの説明として「オルタナティブな方法を見つけるサイト」という言葉を挙げた後、こう説明している。
オルタナティブとは、ひとつしかやり方がないと思っていたところに、新しい方法を見せることだ。
林雄司『世界のエリートは大事にしないが、普通の人にはそこそこ役立つビジネス書』「メソッドその15 相手によって説明を使い分ける」より
たとえば、カレー屋でカツカレーは魅力的だけど重いから普通のにするかと思ってポークカレー食べてたら、あとから来た客が「カレー カツ一切れ」と注文して「え、そういうのありかよ!」と思う、そのときの注文みたいなことである。
デイリーポータルZは世の中に対して「カレー カツ一切れ」みたいな方法を探しているのだ。
とかく僕はなにか面白いことを考えようとしても、既存の常識をベースにしてからでないと考えられない脳をしている。
しかし発想は自由だ。名前の中に太字タグを書いていいし、カレー屋のカツを一切れ単位で注文してもいい。それぐらいのことをできる人たちがトップに行くんだろう。
原宿さんに許可が取れたら、よく合う大喜利プレイヤーの人たちに「六万枝玖是○○」という名前をあげて、「六万枝玖是一門会」とかやってみたい。この場合カプコンにも許可いるかな。